ボクスターに出会うまではBMW一筋でした。これは高校生くらいの頃BMW320i(E30)の端正な姿に憧れ、クルマ雑誌をため息混じりに眺めていたのがBMWへの憧れを育てたのだと思います。当時、友達は週刊プレイボーイを見てため息を漏らしていたのに、私はCarトップの中古車情報を見てため息を漏らしていました。学生の頃はガソリンスタンドでバイトをしていましたが、スーツ姿の男性がE30で乗り付けるといったいどんな仕事をしてるのだろう?と羨望の眼差しを送っていました。
BMWは325i(E36)が始まりで525ツーリングや330Ciを乗り継ぎましたが、M-Coupeの印象は強烈です。あの小さなボディ(当時の3シリーズ・コンパクト(ti)のシャーシ)に3リッターのエンジンを乗せているのですからそれはもうむちゃくちゃです。完全に足回りが負けています。いわゆる直線番長的なクルマで関越道でパトカーが追尾していることを知らずに振り切ってしまったり、峠道で曲がりきれずに反対車線にはみ出したり。
そんなある時、「あなたはこのクルマに乗り続けるときっと死ぬ...」と言う声が聞こえました。M-Coupeは良いクルマです。曲がらなかったり、尋常ではないスピードを出すのは全て自分の運転技術が未熟だからです。ただ、M-Coupeはドライバーにアクセルをもっと踏み込め..と暗示をかける装備が標準で付いているようで、その暗示に負けて言うなりになっている私を見かねた神様がそっと耳元で囁いてくれたのだと思います。
それから数週間も経たないうちに愛車は330Ciに変わっていました。